人間のイマジネーションの力が生み出した存在――それがタレーラユ（人魚）です。
たとえば、日本には天狗や河童がいます。
「いる」といっても、そこらへんの山や川で、ホイッと遭遇するのは、かなり難しい存在です。
実存するかどうかも分かりません。けれども、天狗や河童の姿を想像できない日本人はいないはず。
同じように、ヨーロッパには妖精や天使、悪魔がいて、中国には龍や鳳凰が、エジプトにはスフィンクスが存在します。
それと同じように、オーロラが空に浮かぶ北極圏には、タレーラユという人魚が「いる」のです。
極地に暮らすイヌイットたちは、タレーラユの絵を描いたり、彫刻を作ったりしています。
彼らが描く人魚は大抵、このカードのように服を着ています。
人魚でさえ洋服を着こんでいるところに極寒の土地柄が現れていて、奇妙なリアルさを感じてしまいます。
もしも、貝殻で胸を覆っているだけの裸体に近い人魚の絵をイヌイットの人々が見たら、「それじゃ凍りついちまう。洋服は着ているはずだよ」と言うかもしれません……。
もちろん、これはあくまで私の想像。
けれども、こんな想像をしたくなる『タレーラユ』というカードには“イマジネーションの持つ力”という意味があります。
あなたも、遠く離れている好きな人が今どうしているのか、つい想像を巡らせてしまうことがありますよね。
子供のころは自分の将来についても、「きっと、こうなって、ああなって……」と空想していたはずです。
さて、好きな人の気持ちを占っていて、このカードが現れたら、彼(彼女)もきっとあなたについて、あれこれ想像を膨らませているということです。
「私との未来について、彼は考えてくれているんでしょうか？」という質問に、このカードが現れたら、「いろいろと考えているのは間違いないよ」と答えてあげていいでしょう。
「ああして、こうして、こんなふうに出来たら……」という夢や想像が、相手の心に存在していることを、カードは示してくれているのです。
『タレーラユ』のカードは「日常とは違う世界」も意味します。
小説やファンタジーの世界に魅入られること。
どこからともなく不思議なアイディアが浮かんでくること。
妙な妄想に取りつかれてしまうこと――そんなことも、このカードは暗示します。
尽きない想像が、あなたの恋や仕事をいい方向に導くのかどうかは、このカードだけでは分からない場合もあります。他のポジションのカードと照らし合わせて、リーディングをしてください。
とはいえ、『タレーラユ』はクリエイティブなパワーを感じさせてくれるカードです。
他者の気持ちを想像してみること。
自分の未来のヴィジョンを心に描いてみること。
……こうしたことをすっかり忘れているときに、このカードが現れたなら、イマジネーションのパワーを取り戻すように、というお告げです。
あらゆる創造は頭に描いたヴィジョンから始まります。
何か新しいものを生み出せるときがやってきていることを、『タレーラユ』はあなたに知らせようとしているのかもしれません。
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