~去っていこうとする人・逃避や離脱~
クィビトックというのは、イヌイットたちの世界における「もののけ」のこと。
人の住まない荒野や山奥で、思いがけず人影を見たときに、イヌイットは「あれはきっと、クィビトックだ……」と考えるのです。
これは、私たちが廃墟などで人の姿を見て、「オバケが出た!」と思うのと似ています。
ただ、クィビトックは異界から来た幽霊ではなく、かつて街を去っていった世捨て人の亡霊なのだと言います。
北極圏に大都会はありません。街に暮らす全員の顔を住民みんなが知っているような世界です。
そんな小さな世界から遠ざかっていこうとするのは「この場所にはもう、いたくない」と思った人。
あなたなら、どんなときに「この場所から去りたい。もうここにいたくない……」と思うでしょう?
たとえば、そこで一緒に過ごしてきた人の愛を失ってしまったとき。
周りから、のけ者にされたとき。
イヤな役割を負わされたとき。
大きな間違いをしでかして、いたたまれなくなったとき……。
「明日以降も、ここでみんなと一緒に暮らしていくのは辛すぎる」と感じる出来事はいろいろありますよね。
このカードに描かれているのは、そういう出来事を経て、山へと向かった孤独な人です。
温かい灯りのともる街に背を向けている彼の心は哀しみに満ちています。
孤立感だとか、何かから逃げだしたい気持ち、仲間からの離脱を試みようとしていること――こういった心境を表すのが『クィビトック』というカードなのです。
たとえば、なかなか連絡をくれない相手の気持ちを占っているなら、このカードは「彼は今、現実から逃げ出したい気分になっている」とか「世の中に失望して、人との交流を避けている」と読めるかもしれません。
今の仕事を続けるかどうか悩んでいるとき、未来に『クィビトック』が出てきたら、そこを去る決意が固まる、と読んでもいいでしょう。
リーディングが難しく感じるのは、過去を読むときかもしれません。
始まったばかりの幸せな恋のゆくえを占っているのに、相手の過去には『クィビトック』が出てきているんだけど、これはどういうことだろう……と解釈に悩む場合があるかと思います。
そんなときは「この恋が始まるまで、あの人は自分の毎日に嫌気が差していたのだ」というふうに読めます。
恋や仕事の状況に合わせて『クィビトック』のイメージを膨らませていってください。
カードのお告げを聞き取れるようになるコツは、キーワードを暗記するより、絵柄をじっと見つめながら、「イメージの本質」を感じることにあります。
最初は難しいかもしれませんが、何度も繰り返し占っているうちに、カードごとの本質を心得ていくことが出来ます。そうなれば、面白いくらい的確にリーディングできるようになるでしょう。
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