チューリップを撮ろう――そう思って向かった公園は、色とりどりのチューリップが見事に花開いている場所でした。
ひとつの種類のチューリップがまとめて植えられていますから、とりあえず、その群れにカメラを向けますが、「この子が好き」と思う一輪の花に、すっと目が吸い寄せられていきます。
まるで、恋が始まるときみたいに。
そのとき、にわか雨がバタバタ降ってきて、いったん軒下に退避。
雨足が落ち着いたところで、もう一度、花畑に出ました。
私にとっての特別な一輪がどれだったか、もう一度見つけるのは、ひと苦労です。
なにしろ一面、似たような花。
というか、そもそも「あの子」を見つけなくても他の花を撮っておけばいいのですが、目が勝手に探してしまうんですね。
パラパラとした雨がまた降ってきます。
風が吹くたび、濡れた体が冷やりとするし、手もかじかんでくるし、「ああ、もう……どこだ、あの子は!」とイライラ。
でも、見つけました。
こうして写真にすると、何の変哲もない一輪……ですが、私にとっては特別な一輪です。
雨にも負けず、
風にも負けず、
……恋とはそういうものだと思います。
あの人を想う気持ちが、あなたを強くしているはずだと。