前回のダイアリーでは「成長」のお話をしましたが、今回は「忘却」について。
成長するのに時間がかかるのと同様に、何かを忘れるのにも結構、時間がかかりますよね。
もう忘れたいのに忘れられない出来事や人物……その記憶に苦しんでいるというご相談も、常にいただくものの一つです。
痛みの記憶、恋の未練――こうしたものが消えていかない日々が長く続くと、自分が前に進んでいない気がしてしまって、心が参り始めます。
でも、本当は少しずつ少しずつ、記憶は薄れているし、想いも薄まっていっています。
毎日眺めても、まるで変っていない木が1ミリほどでも成長しているのと同じです。
焦らないでくださいね。
そうはいっても、もうイヤ! もう忘れたい! とイライラが募るときもあるでしょう。
そんなときは、書いてください。
私にメールを書いてくださってもいいし、ひっそり日記を書いてもいいです。
「書き付けること」には忘れる効果があるからです。
勉強や仕事などで「忘れてはいけないこと」をメモに取ると、メモしない場合よりも忘却率がずっと高いと言われています。
大事なことをメモしてしまうと、「覚えておかなければ……」という無意識がプレッシャーから解放されるので、脳はリラックスし、記憶を手放すわけですね。
あのとき、ああすればよかった、と思うこと。
あのとき、1番、悲しかったこと。
苦い記憶は忘れたいけれど、「これだけは忘れたくない」と感じる幸せな一瞬のこと。
こうしたことを、書き出してみてください。
それだけで「魔法のように忘れられた」というわけには行かないかもしれません。それでもね、忘却スピードは間違いなく速まります。
「これで一歩、前進した」という気持ちにね、きっとなれますよ。