好かれたい、嫌われたくない――
そういう気持ちが自分のなかに強くあるとき、
「相手の気持ち」が、とてもつかみづらいものになる場合があります。
なぜなら、
「好かれているか、嫌われていないか」という“観点”からしか、相手の言動を解釈できなくなってしまうからです。
どういうことか、説明しますね。
ここに「お客様に好かれたい! 嫌われたくない!」と強く考えている小さなレストランのオーナーがいたとします。
あるお客様が、注文した料理を残しています。
するとオーナーは思います。
「あの料理、おいしくなかったんだろうか? 気に入ってもらえなかったようだ……」と。
でも、そのお客様が料理を残したのは、その日の体調が悪かったせいかもしれません。
もともと小食なのかもしれないし、
「ダイエット中だから」という事情があるかもしれません。
そういう相手の「事情」をひとつも思いつかず、
この人は、うちの料理を残した
↓
おいしくないと思われた
……というふうに相手の行動を“読んでしまう”のは、「自分の店はどう思われているか?」という視点からしか、相手を見てないからでしょう。
このとき、このオーナーは、「お客様に好かれたい、嫌われたくない」という気持ちが強くなりすぎているわけですが、
これ、まさに恋愛でも同じことが起こりがちです。
今日の彼(彼女)の態度は少し冷たかった
↓
私に関心がないのかもしれない。
あるいは、好かれていないのではないか……
……これが「好かれたい、嫌われたくない」視点から出てくる“読み”です。
とはいえ、恋をした場合でも、お店を開いた場合でも、
「好かれたい、嫌われたくない」という気持ちは当然、出てくるものですよね。
でも、そうであればこそ、
その気持ちをいったん脇に置き、
相手の本当の気持ちを想像することは肝心なこと。
ニュートラルな意識で、相手を見てみると
食欲がないのかな……、
今日はちょっと元気がないのかもしれないな……
といったことに頭をめぐらす「ゆとり」が出てきます。
そういう「ゆとり」があるほうが商売だって恋愛だって上手くいきます。
なぜなら、本当の相手のニーズに応えるキッカケをつかめるからです。
それに、どこかレストランに行ったとき、
もし、そこのオーナーが、「うちの店を気にいってくれたか?」ばかり気にしているようだったら、ちょっとゲンナリしますよね。
食後は気楽な気分でゆっくり寛ぎたいのに、
「いかがですか? お口に合いました?」とか
「お友達紹介キャンペーンをやっていますので」とか、
そんなことばかり言われたら、
なにやら面倒になって、もう一度、行く気が失せたりすることもあるでしょう。
同じように、異性から
「連絡ないから、嫌われたか悩んじゃったよ」とか、
「次はいつ会えるの?」とか、
そういうことばかり言われたら、
「よほど、この人は嫌われるのが怖いんだろうな」と感じて、
なんとなく興ざめしてしまうこともあるもの。
そこには「この人は、自分がどう思われるかにしか関心がなく、こっちの事情や状況のことなんて、考えもしないんだろうな……」という感じがしてしまうからだと思います。
商売や恋愛が上手な人なら、
「今日はあまり食が進まないみたいですね」とか
「昨日は少し元気がなさそうだったね」など、
相手の状況、事情を思いやっている言葉が自然に出てます。
そうすると、こちらだって、
「この人、さりげなく、私の様子を見ていてくれているんだな」と、うれしくなったりします。
「好かれたい、嫌われたくない」という呪縛に囚われていなければ、こんなふうに、相手の心に響くやり取りができる場合は多いもの。
ですから、ときには、「私は好かれているのか、嫌われていないか」を考えるのを止めてみるのも大切なことなのです。
恋をしたら、
「好かれているかどうかを確かめたい!」という欲求をうまくなだめてください。
「自分のこと」は置いておき、
相手のことに意識を向かわせることを忘れずにいてくださいね。
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