無料のお悩み相談コーナーをはじめて7年になります。
最初のころは、たくさんの方からどっさりメールをいただきました。
全員に即座にお答えできるわけもなく、そうするうちに、応募も減ってきて、けれども完全に途絶えることはなく、気がついたら今みたいな感じになっていました。
「今みたいな感じ」というのは、
「やり取りの数こそ毎月少ないものの、それなりに濃密な言葉を交わし合う感じ」のことです。
みなさん、このコーナーの過去のやり取りを参考に、悩みを書いてこられるのだと思います。
そのため、最初のうちは「彼の気持ちが知りたいです。よろしくお願いします」みたいなメールもあったのに、今ではかなりの長文をいただくことが多くなりました。
詳細を綴ってくださった長いメールは大歓迎です。
そうしていただくと、このコーナーを読まれている方々も、「私の悩みと似ているな……」とか、「そんな辛いことってあるんだ……」と思って共感してくださるし、私も具体的な回答が書きやすくなっています。
ところで最近、トラウマに関する分厚い本を読んでいました。
(タイトルは『身体はトラウマを記憶する――脳・心・体のつながりと回復のための手法』ベッセル・ヴァン・デア・コーク著 紀伊國屋書店)
その本のなかに、
「言葉の癒し効果」について書かれている章があります。
苦しい経験をしたときは、辛い気持ちから目を逸らさず、その体験について書いてみること――そうすることがいかに大事で、いかに大きな癒しをもたらすかが、その章に書いてありました。
そこには、ヘレン・ケーラーの話も出てきます。
家庭教師のサリヴァン先生の努力で「言葉」に目覚めたヘレンは、自伝のなかに、その喜びを書いているのですが、この本の著者はそんなヘレンの喜びについて、「共感」という言葉を使っているのが印象的でした。
誰にも理解してもらえない……それって苦悩につきまとうものですが、言葉で語ることができたなら、それを誰かに伝えられるわけで、「誰かに分かってもらえる可能性」を私たちは見いだせます。
それがね、救いになるわけですね。
それだけではありません。
この本のなかには、実際に自分のトラウマ体験を書いてもらう、という実験を研究室の学生たちにしてみたら、書いただけで気分がよくなり、免疫力も上がって、心身ともに健康を取り戻せた実証結果が出てきます。
誰かに読んでもらったわけでもない場合でさえ、本当に「書く」だけで癒えるのです。
今のあなたが深い苦悩を抱え、どこにも持っていきようのない気持ちに襲わたり、何ともやるせない毎日が続いていたりするなら、「今の私はこんな苦痛を感じています」といった想いを、とにかく綴ってみてくださいね。
書くという行為が苦境を抜ける一歩になるかもしれませんよ。
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