イヤなことが起こると、それを数日、引きずってしまうときってありますね。
その内容によって、あるいはショックの大きさによって、引きずる日数に違いはあると思います。これは当然のこと。
でも、「私は、ささいなことでも長く引きずってしまうタイプ……」と悩んでいるなら、これからお話することが役に立つはず。
「エビングハウスの忘却曲線」という理論をご存じですか?
簡単に言うと、記憶が脳から失われていくのは、エビングハウス氏が実験によって導きだした「忘却曲線」にそっていて、暗記したことを忘れずにいるためには、定期的に復習する必要があるということ。
暗記ものの勉強をするときなどに役立つ知識として、最近はあちこちで見かける用語です。
でも、実はこれ、「忘れたいこと」にも役立つ知識だと思います。
エビングハウスの忘却曲線理論から導かれた学習法によれば、その日のうちに一度、次の日に一度、そして一週間後にもう一度、「復習」をすると、記憶がしっかり定着するそう。
ということは、「イヤな目に遭った」という体験を、その日のうちに家族に話し、次の日に同僚に話し、一週間後に恋人とのデート中にまた話し……なんてことをやっていると、ネガティブな記憶が脳にどんどん定着してしまいます! その結果、「何日経っても忘れられない。まだ腹が立つ。まだ落ち込んでいる……」ということになってしまうわけです。
もちろん、私たちが遭遇するイヤな出来事のなかには、繰り返し思い出し、忘れないようにしていくべき教訓的なこともあります。あるいは、じっくり考えてみる必要を感じる出来事も。
けれども、ちょっとしたトラブルにまつわるネガティブな想いについては、サッサと忘れてしまうのが賢明。だから、「記憶の復習」は止めましょう。
そのためには自分の脳に、「この出来事は、もう処理済み。忘れていいよ!」というサインを送るのが効果的です。
たとえば、ちょっとしたミスにまつわる記憶は、すぐにしっかり「ごめんなさい!」と謝ることで処理済みにできます。「あとで謝らなきゃ……」と思いつつ先延ばしにすると、記憶に刻みこまれるのでNG。
軽くショックだったことは、すぐに連絡がつく友人に「がーん、こんなことがあったんだ……」と話してしまい、ちょっとなぐさめてもらったら、それで処理済みです。「明日また、あの子にも聞いてもらおう」と思うのは止めましょうね。
このシンプルなルールに従えば、ネガティブな気持ちを忘れるのが上手になると思います。
毎日をラクに生きるには、簡単なコツを知っていることが大事なのです。